(2) ある日、知人と喫茶店で話していてとき、おもしろい話を聞いた。知人は大学時代に交換留学の機会を得て9ヶ月間アメリカの大学に留学したそうだが、その留学を終えて帰国するとき、心に残る思い出ができたと言う。以下、その知人の話である。
アメリカに行くときは飛行機だったが、帰りは船に乗ってみたくて、貨客船で帰ることにした。貨客船は基本的に貨客船であるが、乗客も11人まで乗せることのできる船だった。その貨客船乗ってアメリカ西海岸の港を出て横浜(注1)に向かった。
飛行機なら到着時とかに時計を一度だけ調節するのが普通であるが、船旅では,おもしろいことに、港を出てから横浜に着くまで毎日寝る前に1時間時計を遅らせるように船員に言われた。言ってみれば、1日が25時間になったわけである。ところが、日付変更線を越えるときに、日付を1日先に進めることになった。( )、1日失われたのである。
ところが、その船には小学校の教師を定年退職(注2)し息子さんと一緒に日本旅行に行くシックラーさんという女性が乗っていた。そして、そのシックラーさんの誕生日がたまたま日付変更線を越えるときに失われた1日だったである。これを知った船長が、それはあまりにもかわいそうだということで、シックラーさんのためにパーティーを開くことにして、みんなでシックラーさんを励ました(注3)。おかげでみんな特別なパーティーを楽しむことができてなかなか経験できない船の旅となった。
私は、この知人の話を聞いて、このような船旅も悪くないなと思った。今は仕事で忙しく時間の余裕がないが、私もいつか船旅をしてみたくなった。
(注1)横浜:日本の有名な港町
(注2)定年退職:企業などが決めた年齢になって仕事を辞めること
(注3)励ます:元気が出るように力づける
【問い】1 ( )に入る最も適当な言葉はどれか。
1 ただし
2 ついに
3 けれど
4 つまり
【問い】2 本文の内容に合っているのはどれか。
1 シックラーさんは、乗船していた人たちに誕生日を祝ってもらった。
2 シックラーさんの息子さんは、悲しんでいる母のためにパーティーを開いた。
3 日付変更線のところで1日多くなり、乗客たちは余計に楽しい思いができた。
4 船長は、日付変更線に着くまで毎日時計を1時間遅らせなければならなかった。
【問い】3 この本文に題をつけるなら、どれが一番合っているか。
1 貨客船と時間
2 失われた誕生日
3 交換留学先での思い出
4 定年退職のパーティー
(3) 次の文章は、ある園芸雑誌に載った読者からの質問と専門家の回答です。
《質問》
先日、花屋に『育てやすいですよ。』と言われた花を買いました。言われたとおり日光がよく当たる場所に植えたのですが、枯れてしまいました。土には栄養を十分与えました。水も毎日決めた時間にたっぷりやっていました。いったい、何がいけなかったのでしょうか。
《回答》
このかたは、日光、土の栄養、水と三つの要素をよく考えていらっしゃいましたね。植物は生命活動の養分を日光の助けを借りて作り出しているので、日光に当たることは大切です。でも、それだけでは植物は十分に成長しません。土の栄養が不足すると、葉が小さくなったり美しくなくなったりしますから、栄養にも注意しなければなりません。もちろん水も重要で、水がなければ植物が枯れてしまいます。しかし、実は『あればあるほどいい』というものではないのです。
毎日決まった時間に水をたっぷりやっていらっしゃったよいですが、飲み過ぎがよくないのは人間や動物と同じです。一日一回時間も量も決めて水をやるのは規則正しいやり方で、水をやっている人はそれで心が満たされる(注)でしょう。けれども水を必要としているのは人間ではなく、植物のほうです。植物は、成長が止まる時期には、それほど水分を吸わなくなります。また、天候や土の種類によって土の乾き方が違いますから、どのぐらいの水を与えればよいかはその日によって異なります。こうした点によく注意して、水やるようにしてみてください。
(注)心が満たされる:満足する
【問い】1 回答者は植物を育てるには基本的に何が大切だと考えているか。
1 『日光』と『土の栄養』と『水』が大切だと考えている。
2 植物を枯れさせないための『水』が何よりも大切だと考えている。
3 生命活動の養分を作れ出すための『日光』が何一番大切だと考えている。
4 植物を十分に成長させるための『土の栄養』が最も大切だと考えている。
【問い】2 水のやりかたについて回答者はどのように考えているか。
1 植物も人間の場合と同じように、規則正しい水をやることは必要である。
2 規則正しい水をやることは、人間の心を満たすことにもなり、重要である。
3 規則正しさよりも、成長や土の状態を考えて水をやることのほうが大切である。
4 植物の成長期には水を多くやってはいけないので、規則正しくやる必要はない。
【問い】3 回答者は、なぜ花が枯れたと考えているか。もっとも適当なものはどれか。
1 水をやり過ぎたから
2 日光に当て過ぎたから
3 土に栄養を与え過ぎたから
4 土に栄養を与えずに日光に頼りすぎたから
問題Ⅲ 次の(1)から(5)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1,2,3,4から一つ選びなさい。
(1) 昔、テレビで対談(注1)をやったとき、『テレビが盛んになって、子どもが勉強しなくなったと親から非難(注2)されるが、社長はどう思うか』と聞かれたことがある。それで私は『子どもの教育は学校だけのものではない。テレビはいろいろな社会情勢(注3)を知らせ、みんなの考え方を多面的に知るにはなかなか大きな役割を果たして(注4)いる。勉強というものを、そう小さな枠にはめて(注5)考えないでほしいい』と答えておいた。
子どもの個性や能力といったものは、日常生活に生き生きと表れている。
(PHP研究所編『本田宗一郎「一日一话」-"独創”に賭ける男の哲学』による)
(注1)対談:二人の人がある決まったテーマについて話し合うこと
(注2)非難:欠点などを取り上げて、悪く言うこと
(注3)社会情勢:変化していく社会のようす
(注4)役割を果たす:働きをする
(注5)枠にはめる:ある一定の範囲に限る
【問い】 本文の内容に含まっているものはどれか。
1 子どもの教育は、テレビという小さな枠にはめて考えるべきではない。
2 テレビからの情報は重要なので、学校でも積極的に取り入れるべきである。
3 子どもの勉強は学校だけでするものではなく、あらゆる経験が勉強である。
4 子どもの個性や能力は日常生活で伸びるので、学校での教育は必要ではない。
(2) 昨夜、寝られなかったという方、心配いりません。寝られなくてもいいんです。人間というものは、寝よう寝ようと思えば思うほど目が冴えて(注1)しまうようにできています。ですから、眠れればよし(注2)、寝られなくてもいい、どっちでもいいと思うようにしてください。なかなか眠りにつけないときは、積極的に(寝られなくてよかった。寝られなかったからこそ、読書ができた)、(目が冴えて、友達への手紙が書けた)というふうに考えてください。そうしたプラス思考(注3)の考え方が、寝るということにつながるのではないかと思っています。
(早川一光『老い練習帳』による)
(注1)目が冴える:頭や目などの働きが活発になる
(注2)よし:いい、問題はない
(注3)プラス思考:物事を良い方向に考えること
【問い】 筆者によると、どうしても寝られないとき、どうすればいいか。
1 寝ようと思えば必ず寝られると考えて、眠くなるのを待つ。
2 寝られないことは問題であるので、積極的に寝るように努力する。
3 自然に眠くなるように読書したり手紙を書いたりして目を疲れさせる。
4 気にしないで、寝られないことでいいこともあるのだと考えるようにする。
(3) 日本には世界平均の約2倍近い雨が降っている。ところが、国の面積が小さく人口が多いため、国民一人当たりの雨の量は世界平均の4分の1程度しかない。
実際たくさんの雨が降っても、日本には流れが急な川が多いので、その雨水はすぐに海に流れ出てしまう。また、雨は梅雨や台風の季節など集中して降り、それ以外の時期はあまり降らないし、雨の量は地域によってもかなり差がある。
このように考えると、( )。日本人は水をもっと大切な資源として使っていくべきなのではないだろうか。
【問い】 ( )にはどんな文が入るか。
1 日本は決して水が豊かにある国だとは言えない。
2 日本は年間を通して降る雨の量が多い国だと言える。
3 日本は川などが多いので、水に恵まれていない国だとは言えない。
4 日本は地域による違いがあるが、全般的に雨の少ない国だと言えない。
(4) 日本の職場では最近、暑い夏にノーネクタイ、ノー上着で過ごそうという働きが見られる。これは環境のことを考えて、服装で体感温度を調節し、冷房の使う電気の量を減らすのが目的である。寒がり冷房に悩まされてきた人たちにとっては、いい知らせだと言えるだろう。
ところが、これでその人たちみんなが喜べると言うわけでもないのだ。例えば、放送局の中を考えてみよう。放送に使われる機械は暑さに弱いものが多いため、冷房が必要となる。機械のためには、どんなに寒くでも人間のほうが我慢するしかないのである。
(注1)ノーネクタイ:ネクタイをしないこと
(注2)体感温度:体で感じる温度
【問い】 本文の内容と合っているものはどれか。
1 環境のことを考えて、放送局で働く人たちは電気の使用量を減らさなければならない。
2 冷房が強いと壊れる機械のことを考えて、放送局の人は暑さを我慢しなければならない。
3 環境を守るために、寒さに弱い人たちは服装で温度を調節して過ごさなければならない。
4 機械を守るために、放送局では冷房をつけて寒さを我慢しながら過ごさなければならない。
(5) ある研究所は、20歳以上の日本人男女を対象に、1973年から定期的に日本の現状評価についての質問調査を行っている。右のグラフは、そのうちの『芸術』『経済力』『生活水準』『心の豊かさ』『科学技術の水準』の5つの項目について、<非常によい>と<ややよい>を合わせた選択率の変化を示したものである。
それによると、『科学技術の水準』は1973年の調査開始時から徐々に伸びた後いったん下降しているが、最近またわずかに回復傾向が見られる。『芸術』はおよそ10%の幅で上がったり下がったりを繰り返し、2003年に評価が上がったものの、今後も評価が伸びるかどうかはわからない。一方『経済力』は1988年を最高に、それ以降評価は下がり、2003年の調査でも回復は見られない。また『生活水準』は調査開始から毎回評価は伸びていたが、1993年を境に下がり、その後も下降の傾向にある。『心の豊かさ』は毎回低い評価を受けていたが、1993年以降さらに低くなり、『生活水準』と同様、その後も低いままである。日本の現状評価は、1988年以降多少上向きの傾向が見られる項目はあるが、全体的に下がっているということがこの調査からわかった。
【問い】 文章の内容とグラフが合う組み合わせはづれか。
1 ア:科学技術の水準 イ:芸術 ウ:生活水準 エ:経済力 オ:心の豊かさ
2 ア:科学技術の水準 イ: 心の豊かさ ウ:生活水準 エ: 芸術 オ:経済力
3 ア:生活水準 イ:芸術 ウ:科学技術の水準 エ:心の豊かさ オ:経済力
4 ア:生活水準 イ:経済力 ウ:科学技術の水準 エ:芸術 オ:心の豊かさ